今年道東ホースタウンプロジェクトの引退馬預託牧場に加わった<ジェットファーム>に、この11月、最初の引退馬を迎えることになりました。乗馬クラブでの現役引退後、福島県の施設で暮らしている今年21歳の馬です。
今回は、この第1号の預かり馬の受け入れについてのご報告です。
“実馬確認”から見えてきたこと
プロジェクトの馬預かり事業では、新しい馬を迎えるにあたって、事前に直接現地に赴き、馬の体調や状態を見て長距離移動に不安がないかを確認します。今回は、当法人が新規牧場支援の一環としてこの“実馬確認”を行い、いよいよ移動が決定しました。
その一方、馬のいる施設を実際に見、飼養担当の方からふだんの様子を直接聞いたことで、牧場で受け入れた後、この馬が新しい環境になじむまで特に気をつけていかなければならないことも、2点ほど明らかになってきました。
●新しい牧場にはまだ仲間がいないこと
大きな乗馬クラブで大勢の馬の気配に囲まれていた生活から、広大な自然の風景の中の、まだ引退馬仲間がいない 牧場での生活になります。本来は群れで行動する習性の馬が不安に陥ることがないよう、対策が必要です。
●いきなり道東の本格的な冬に直面すること
もとの乗馬クラブがある地方と比べて、標茶町の真冬は月平均気温で10℃以上も低くなります。一般に馬は寒さに強いとはいえ、短期間でこの道東の冬に適応できるか、見守っていかなければなりません。
受け入れ準備完了、そして新生活スタート、そしてそれから…
そういった事情を共有しつつ、牧場ではパドックや厩舎の整備に加えて、新しい馬の友だちとして先住馬のポニーを任命し、事前に隣の馬房に配置しました。また当法人は、馬の様子を観察するため馬房にカメラを、また気温の推移を記録するためのロガーを厩舎に設置しました。
そして新しい仲間は、無事に11月半ばにやってきました。それから約半月、少しずつ新しい生活に慣れてきたようです。
今ではすっかり仲良くなったポニーと一緒に、毎日パドックで青草を食べたり、のんびり歩きまわったりしています。また日ごとに寒くなってきましたが、上手にシェルター(乾草つき)を利用して、寒さをしのいでもいます。
これからますます寒くなり、一面が雪に覆われてしまう本格的な冬に向け、この馬がしっかりこの地の環境に適応しつつ健やかに暮らしていけるよう、我々はひき続き、観察と支援を続けていきます。